概要

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はじめに

拠点リーダー

京都大学では、化学と材料科学に関する100以上の分野・研究室が学内の諸部局に存在し、基礎化学から材料科学・工学におよぶ化学のほぼすべての分野において、先端的な教育と研究を展開しており、その実績と貢献は、国内はもとより国際的にもきわめて高く評価されている。

このような認識に基づいて、グローバルCOEプログラムの募集に際し、本学では「京都大学の化学の総力」を結集した単一の拠点形成計画「物質科学の新規盤構築と次世代育成国際拠点」を化学・材料科学領域に提案し、幸いにも重点配分拠点として採択された(拠点番号B09)。

これに先立つ21世紀COEプログラムにおいては、化学・材料科学領域において2つの拠点形成計画「京都大学化学連携研究教育拠点」(拠点番号B15、リーダー・斎藤軍治・理学研究科教授)および「学域統合による新材料科学の研究教育拠点」(同B14・小久見善八・工学研究科教授)が本学で採択されており、それぞれ「基礎化学」と「材料科学」において、教育研究分野の有機的な統合と連携を目的として優れた成果が得られている。

今回の計画は、これらにより培われた「統合」への胎動を基盤としつつ、さらに新たな視点に立って、基礎化学から材料科学におよぶ化学・材料科学でのより広い領域の統合と次世代の育成を図り、「統合物質科学」という新たな化学のパラダイムの創出と、これを実現する国際的教育研究拠点の構築を目的とするものである。

現状

採択と同時に、直ちに工学研究科、理学研究科、化学研究所を超えた各拠点幹事からなる「拠点運営委員会」を発足させ、「グローバルCOEキックオフシンポジウム」も開催し、事業推進担当者を中心として、様々な事業がすでに展開されている。たとえば、4つの「統合分野」構築のための「重点共同研究プロジェクト」の立案、国際的次世代育成のための「若手海外派遣事業」、「萌芽的研究プロジェクト」、「若手開催国際ワークショップ」などの採択・実施、また世界からの頭脳流入のための「国際レクチャーシップ」と「国際インターンシップ」の開始、さらには厳選されたリサーチアシスタント(RA)の採用などである。

学内にも「グローバルCOE拠点推進委員会」が設置され、将来を見据え継続性のある全学的支援体制も整備され、次年度以降をも視野に入れた運営を行っている。

将来

化学は、無限の可能性をもつ未知の物質と材料を「創造」できる唯一の基幹科学であり、生物学や物理学とも学際的に連携し、時にこれらを融合して、科学と地球社会に独自で根本的な貢献を果たすことがますます求められている。その意味でも、化学の新たなパラダイム「統合物質科学」を目指す本拠点の事業推進担当者をはじめ構成員は、本計画の採択に感謝するとともに、科せられた責務の重大さを痛感している。

本拠点形成計画を真摯に実行することにより、もとより自由で創造的な学風を伝統とする京都大学を起点として、まさしく分野を超え、国境を越えて、化学・材料科学の新たな潮流としての「統合物質科学」が創出され、これに基づく幅広い視点・見識と創造性に富む高度な専門性を合わせ持ち、真に国際的で力強い化学の次世代が豊かに育成されることを期待して止まない。