拠点の事業計画

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「統合物質科学」の創成/国際教育研究拠点形成と次世代育成

本計画は「拠点構築」と「次世代育成」の二つの基本プログラムからなり、「統合物質科学」の創成に向けて、それぞれで様々な事業を実施する。拠点構築においては「超える」という理念に基づく新パラダイムの構築が、また次世代育成においてはその新たな視点をもつ人材育成が基本となるが、同時に「国際的拠点」や「国際的競争力」という視点がもう一つの基軸となることは言うまでもない。

1.「統合物質科学」創出のための国際教育研究拠点の構築
(分野・部局・国境を越える統合と連携)

1) 「統合分野」の設置と連携(伝統的分野と部局を超えた連携)
本拠点に広く存在する基礎化学から材料科学までの分野をカバーする部局・研究グループを横断的・学域的に統合して、上記の4つの「統合分野」を設置する。
2) 「重点共同研究プロジェクト」(統合分野を超える連携)
「統合物質科学」に即して、統合分野間での連携を図る。とくに分野を横断し、京都大学の化学分野を統合して「初めて実現する」課題を拠点内での研究提案の競争的採択により、拠点経費も支援して強力に推進する。この事業は、「統合物質科学」の創出の根幹となるものと位置づけている。
3) 「物質相関化学」の推進(学を越えた社会のための化学へ)
環境、エネルギー、温暖化のみならず、たとえば電池寿命、ポリマーの劣化、橋梁等の腐食、文化財保護など、未解明の「超長期化学反応」を扱う物質ライフサイクルの化学や文化財の化学という研究分野を開拓し、学を越えた社会との連携を推進する。
4) 国際的求心力のある拠点形成(国境を越えた連携)
国際的拠点構築のもっとも有効な方策は、英語力の向上や国際会議開催もさることながら、世界が自ずと注目する先端的教育研究を拠点内で推進することである。これにより、本拠点でのみ実行可能な教育や研究を目指して世界から優れた人材が集まる求心力が生じ、「頭脳流入」が実現する。その意味で、「統合物質科学」の創成と推進は、国際的拠点構築に直接的に貢献できる。
もちろん、教育研究における国際連携の強化(「国際レクチャーシップ」)と海外の指導的研究者の招聘(「国際インターンシップ」「COEセミナー」など)も積極的に推進する。

2.次世代若手研究者の育成と支援
(世代と国境を超える統合と連携と「統合物質科学」の視点育成)

本拠点での「次世代研究者」とは、助教を中心とする若手研究者と博士課程学生を指し、とくに次のような資質の育成を重視し、下記の事業を実施する。

a. 独自性 「統合物質科学」の幅広い見識と高い専門性の両立と優れた独創性
b. 国際性 英語での討論・発表能力に加え、独自の研究分野、国際的に認知される実績、人的ネットワークにより、「国境を越えて尊敬される」人格の形成
c. 自立性 研究立案、問題解決、指導力、国際競争、資金獲得などでの自立

(1) 次世代研究者(とくに助教)

1) 統合物質科学・若手萌芽研究プロジェクト(競争的研究支援)
「統合物質科学」を目指す独自の発想による研究計画を募集し,採択プロジェクトに研究経費を支援し,同時に研究者としての自立を促進する。
2) 若手海外短期派遣(競争的採用)
拠点内の若手研究者を海外の先端研究拠点へ派遣し,国内での教育研究義務を離れて独自の共同研究を行う機会を与え,同時に人的国際ネットワーク形成,国際的競争力の育成を図る。これには京都大学の広範な国際的交流拠点を有効に活用する。
3) 若手国際ークショップ(若手自主開催)
世界から第一線研究者を招聘して国際ワークショップを開催し,研究・人的交流を促進する。この会議の企画から開催までを,拠点内若手研究者に担当させ,国際的感覚と人的ネットワークの形成を支援する。

(2) 博士課程学生

1) 統合分野部局横断教育システム(分野と部局を越えた連携大学院教育)
「統合物質科学」の新しい視点から、拠点内の部局を横断する統合カリキュラムを新たに構築し、単位互換制度も導入して、幅広い専門的知識と能力を育成する。部局横断講義や海外招聘客員による英語講義なども実施する。
2) 研究立脚教育(Interfaculty On-the-Research Training)(分野と部局を越えた育成)
広範な領域に優れた研究者を包含する本拠点の特徴を生かし、部局を越えて大学院生を交流させ、第一線の研究現場における大学院教育と研究者の育成を図る。
3) 学生萌芽研究プロジェクト(競争的研究支援)
拠点内の博士課程学生に対し、「統合物質科学」を目指す独自の発想による研究計画を募集し、採択プロジェクトに研究経費を支援し、研究者としての自立を促進する。
4) 学生海外短期派遣(International On-the-Research Training)(国境を越える育成)
院生を海外の研究拠点に数ヶ月間派遣し、共同研究を実施させる。これにより、研究の国際実践、海外滞在経験を充実させ、研究者としての成長と国際感覚育成を図る。
5) 学生国際ワークショップ(学生自主開催)
博士課程学生が主体的に企画・運営する国際会議を開催させ、そのための指導と資金援助を行い、語学力と国際感覚の育成を図る。
6) 「物質相関科学」講義(学を超える社会のための化学へ)
社会の貢献する化学・材料科学、社会倫理、企業マネッジメント、特許戦略等、科学者と社会の関わりを教育する講義を開講する。